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慢性扁桃炎と病巣感染

喉がすごく痛いわけでも、熱が出るわけでもないけれど、扁桃に白い膿(膿栓と言います)がついていて異物感がある、あるいはそれが時々口から出てくる(「匂い玉」などと呼ばれることもあります)、このような状態を慢性扁桃炎といいます。もともと扁桃には「陰窩」という凹んだ洞穴のような構造があり、ここに住み着いた細菌が局所の免疫反応によって菌塊となり、蓄積したものが膿栓になると考えられています。

この膿栓が時として手足の湿疹(掌蹠嚢胞症)や、鎖骨の腫脹・疼痛(胸肋鎖関節炎)、IgA腎症といった病気の原因になることがあります。このように、全く離れた場所に病気を生じるものを「病巣感染症」と言います。そして喉の痛みや発熱などの症状がほとんどないような状態でも、扁桃を摘出すると、これらの皮膚や腎臓の病気が治ることがあります。扁桃が「病巣感染症」の原因になっているかどうかを診断する方法としては、扁桃のマッサージを行い、その前後1-2時間に採血をして炎症反応の変化を見たり、湿疹などの症状の悪化の有無をみる「扁桃誘発検査」などがありますが、この検査も100%確実なものではないことから、一つの参考程度として考えるべきだと言われています。

一般に扁桃摘出術は全身麻酔下で行われることが多くなっているので、痛みを感じないままに手術は終わりますが、麻酔が切れると、のどの痛みが始まり、数日間は続きます。また、術後1週間は扁桃摘出部位から出血することがあるため、その間の入院を勧める施設が多いようです。このような手術や麻酔によるリスクを考えると、「病巣感染症」を生じていない「慢性扁桃炎」の場合、膿栓が付くことだけを理由に摘出することは適切ではないと考えられています。また、抗生物質を投与すると膿栓は一時的には消えますが、慢性扁桃炎では陰窩が細菌にとって住み心地のいい状態になっているので、薬を止めると、また膿栓ができはじめます。さらに、このようなことを繰り返していると、さまざまな抗生物質に抵抗力を持った細菌を作ることにもなります(薬剤耐性と言います)。したがって、膿栓による不快感を解消するためには、あえて抗生物質を使用せず、扁桃を器具で圧迫して膿栓を絞り出したり、生理食塩水などで洗い流したりするようにするのが一般的です。さらに、扁桃を細菌にとって住み心地を悪い状態にする(?)ために、患者さんご自身にもうがいを頻回にしていただいています。

一方、扁桃に膿がついて喉が腫れ、痛みや高熱を繰り返す場合は「習慣性扁桃炎」という状態になっている可能性が高いと思われます。「習慣性扁桃炎」の場合には、炎症をおこすたびに抗生剤、鎮痛下熱剤で治療を行うのが一般的ですが、症状の程度と頻度によっては(炎症が扁桃周囲の広い範囲に及ぶ「扁桃周囲炎」や「扁桃周囲膿瘍」を生じたり、1年に3-4回以上の発熱を繰り返すというのが基準になることが多いです)扁桃摘出術の適応になります。学校や会社を度々休まなければいけないようなひどい炎症を繰り返す場合には、手術について主治医の先生にご相談ください。

耳鼻咽喉科いのうえクリニック

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