鼻出血
鼻出血は多くの方が経験したことのある症状だと思いますが、突然、鼻血が出てくると不快ですし、なかなか止まらないと不安になるものです。
鼻の中は、もともと血の巡りの良い場所ですが、鼻の穴の内側、入り口から1cm付近の動脈と静脈が集まっている「キーゼルバッハ部位」と呼ばれるところは特に血が出やすい場所として有名(子供の鼻血のほとんどがこの場所)です。ここからの出血は、鼻の中に綿やティッシュを詰めて鼻の柔らかいところ(鼻翼)を親指と人差し指で強く5分以上つまみ続けることでほとんどの場合止まります。この際には、鼻で呼吸できませんので口呼吸になりますが、鼻の奥から口へ回ってくる血液を飲み込むと、後で気持ちが悪くなりますので、椅子に座って下を向き、口に回ってきた血液を吐き出すようにします。それでも止血できない場合には、耳鼻科を受診してください。鼻の中に止血剤を浸したガーゼなどを詰める、あるいは電気メスで出血している血管を焼灼するといったことで多くの場合、止血ができます(出血がひどい時には、受診前にあらかじめ電話をしていただけると優先的に対応ができますので、よろしくお願いします)。
また、中高年以降の方ではキーゼルバッハ部位以外に鼻の奥(下甲介後端部)の血管から大量の出血が起きることがあります。この部位からの出血は鼻をつまんでいるだけでは止まらないばかりでなく、耳鼻科の外来処置でも十分な圧迫ができないために止血し辛く、入院して手術(顎動脈結紮術など)を行わなければならなくなることもあります。
鼻出血が生じると、脳の出血を心配する方がいますが、脳からの出血が鼻に出てくることはありませんので、その意味では心配はありません。しかしながら、脳梗塞予防のために血液が固まりにくくなる薬を内服している方などの場合には、鼻血ばかりでなく、脳の出血が起きた時にも止まりにくいわけですから注意が必要です。
一方、少量の出血が長期間続く場合には、癌などの腫瘍からの出血の可能性もありますので、是非、耳鼻科を受診されるようお勧めします。
