急性中耳炎

急性中耳炎によって真っ赤になった鼓膜
風邪をひいた後、急に耳が痛くなることがあります。その原因は多くの場合、急性中耳炎です。特に子供は耳と鼻をつなぐ換気の管(耳管)が短く、角度がなだらかなので、鼻の細菌が中耳腔に移行しやすいと言われています。細菌の勢いが強いと、膿の圧迫で鼓膜が破れて耳の外に流れ出ることがあります(耳漏)。
中耳炎の原因となる細菌は、肺炎球菌、インフルエンザ菌(名前は同じですが、冬に流行るウイルスとは違います)、モラクセラ・カタラーリスの3つであることが多いのですが、最近、これらの細菌の薬剤耐性が問題になっています。つまり、従来これらに効果のあったペニシリン系やセフェム系といった抗生物質が効かない細菌(耐性菌)が多くなってきているのです。ですから、抗生剤を飲んでいるからといって安心できるとは限りません。3歳以下では、耳だれが出ていて熱があれば「重症の中耳炎」と考えられていますので、しっかりと検査をしながら治療する必要があります。
検査に際しては、まずどんな細菌がついているのか、どのような薬が効果的なのかを調べるために細菌検査を行います。そのため、耳漏が出ているときには耳漏から、耳漏の出ていない時には耳とつながっている鼻の奥からの分泌物を採取することがあります
耳漏が出ていない場合には、まずは抗生剤の投与で様子を見ることが多いのですが、鼓膜が膿で腫れていたり、高熱や痛みが続くときには鼓膜を切って膿を出すことがあります(鼓膜切開術)。炎症を起こした鼓膜に麻酔をすると染みて激痛を生じるため、通常はあえて麻酔をしないで切開します。切ると言っても1-2mm程度ですので、痛みは一瞬で、出血もほとんどありません。